VIX指数への投資が行える銘柄の一つであるGMOクリック証券の米国VIについて解説していきます。
米国VIとは
GMOクリック証券で取り扱われているVIX指数関連のCFD銘柄です。
VIX先物が参照原資産となっており、VIX指数と同等の値動きをします。
他のVIX指数関連のCFD銘柄として、「米国VIブル」と「米国VIベア」という似た名前の銘柄がありますが、特徴が大きく異なるので間違えないよう気を付けてください。
米国VIの特徴
米国VIと同等の値動きをするVIX指数のチャートは以下のようになっています。
以下の記事でも説明していますが、平時は10~20前後で推移しており、経済に影響のある出来事が発生するとVIX指数は急騰します。
過去にVIX指数が高騰した主な出来事と、その時の値は以下のようになっています。
発生時期 | 出来事 | VIX指数 |
---|---|---|
1997年10月 | アジア通貨危機 | 48.64 |
2001年9月 | アメリカ同時多発テロ | 49.35 |
2008年10月 |
リーマンショック ※過去最高値 |
89.53 |
2011年10月 | ギリシャ通貨危機 | 46.88 |
2015年8月 | 中国経済失速懸念 | 53.29 |
2018年2月 | VIXショック | 50.30 |
2020年3月 | 新型コロナパンデミック | 85.47 |
米国VIはVIX先物を参照原資産にしているため、VIX指数と完全に一致はしませんが、目安としては上記のVIX指数の値が参考になります。
また、先物の取引になるため、証券会社は定期的に期近のポジションを期先のポジションへ買いなおす(ロールオーバーする)必要があります。
ここで発生するロールオーバー時の差額が価格調整額となり、我々の保有するポジションに応じて支払いや受け取りが発生します。
期近の価格が期先の価格より安い場合(コンタンゴ)には、ロールオーバーの際に安く売って高く買うことになるため、買いのポジションを保有している場合は差額を価格調整額として支払う必要があります。
逆に、売りのポジションを保有している場合は差額を価格調整額として受け取ることができるため、米国VIへ投資する魅力にもなっています。
なお、VIX先物はコンタンゴの状態が圧倒的に多い傾向があります。
コンタンゴの仕組みついては以下の記事で説明していますので、是非参考にしてみてください。
価格調整額について
VIX先物のロールオーバーコストとなる価格調整額は毎月発生しますが、価格は毎回大きく異なります。
単純に過去の価格調整額を平均すると2022年11月まででは毎月1,000円程度となり、年間で12,000円程度発生しています。
つまり、買いポジションを1枚保有している場合は年間12,000円程度の支払いが必要となりますが、逆に売りポジションを1枚保有している場合は年間12,000円程度受け取れることが期待できます。
実際には毎回大きく変わるため、過去の価格調整額を年単位でまとめた表が以下になりますので、こちらを参考にしてください。
年 | 価格調整額(年間) | 売ポジション 月平均 |
|
---|---|---|---|
売ポジション | 買ポジション | ||
2016年 ※9月から |
4,623円 | -4,623円 | 約1,156円 |
2017年 | 14,500円 | -14,500円 | 約1,208円 |
2018年 | -2,806円 | 2,806円 | 約-234円 |
2019年 | 11,976円 | -11,976円 | 約998円 |
2020年 | 7,321円 | -7,321円 | 約610円 |
2021年 | 7,321円 | -7,321円 | 約610円 |
2022年 ※11月まで |
12,125円 | -12,125円 | 約1,102円 |
平均 | 約12,252円 | 約-12,252円 | 約1,021円 |
売りポジションを保有している場合、年単位の価格調整額合計は2018年を除いて毎年受け取りの方が多くなっています。
取引規制について
米国VIでは、VIX指数が急騰した際に投資家保護のため頻繁に新規売規制が行われます。
直近の新型コロナウイルスによるパンデミックでは、2020年2月24日から新規売規制が行われ3年以上も解除されていない状態となります。
そのため、VIX指数の売りポジションを増やしたいタイミングで新規売規制が行われてしまっている場合には、別の銘柄で取引を行うか、別の証券会社で取引を行う必要があります。
まとめ
米国VIの特徴から、米国VIへ投資を行う際は以下の内容が考慮事項になるかと思います。
・米国VIは急騰した後に比較的早く元の水準に戻る
・米国VIが急騰するタイミングは読めない
・買いポジションでは支払い、売りポジションでは受け取りの価格調整額が発生することが多い
・VIX指数が急騰した場合には頻繁に新規売規制が行われる
上記を踏まえ、VIX指数が低すぎない水準で売り増ししていくのが手堅い手法になるかと思います。
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