【深掘り】ポテンシャルは米国VI以上!米国VIブルのショート戦略について

2021年3月28日日曜日

米国VIブル

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米国VIブルは「 驚きの下落速度!リスクを上回る魅力が満載の米国VIブルについて 」の記事でも紹介した通り、コンタンゴによる減価とレバレッジ型による減価の2種類の下落圧力がかかっています。

そのため、ショートポジションを保有することで簡単に利益を出すことができるように思えますが、レバレッジ型ということで適切なロスカットレートを決めることが非常に難しい銘柄になります。

本記事では、過去の値動きを元にロスカットレートの目安と利回りに関して考察していきたいと思います。

なお、考察にあたって各値は米国VIブルの参照原資産であるUVXYの値を使用しています。

※追記 建玉上限設定について 2022年3月12日に売建玉の上限が100枚に設定されてしまったため、長期で継続的にポジションを増やし続けることができなくなってしまいました。
そのため今後のGMOクリック証券での米国VIや米国VIブルのショート戦略は建玉数が100枚に達するまでの限定的な手法になってしまいます。
参考: 【重要】CFD取引 一部銘柄の建玉上限引下げのお知らせ

米国VIブルショート戦略

基本方針

米国VIブルは2種類の下落圧力がかかっているため、ショートポジションを保有することで価格下落によるキャピタルゲインを得る戦略が基本となります。

ただし、後述する通り保有する期間が長くなるにつれて利回りが悪くなっていくため、利回り維持のために都度ロスカットレートの見直しを行う必要があります。

また、米国VIブルはレバレッジ型であるため、VIX指数(VIX先物)の値動きによって米国VIブルがどこまで上昇するかは異なり、適切なロスカットレートを算出することは難しいです。

そのため、私としては普段は米国VIへ投資を行い、米国VIが新規売規制となっている場合の代替え手段として米国VIブルへの投資を行うことをおすすめします。

米国VIブルの下落率

過去の下落率は以下の通りです。

始値 終値 下落率
2012年 7,407,100,000.00 201,337,000.00 97.28%
2013年 201,337,000.00 16,770,800.00 91.67%
2014年 16,770,800.00 6,273,350.00 62.59%
2015年 6,273,350.00 1,404,245.00 77.62%
2016年 1,404,245.00 86,959.00 93.81%
2017年 86,959.00 5,168.00 94.06%
2018年 5,168.00 8,146.00 -57.61%
2019年 8,146.00 1,267.00 84.44%
2020年 1,267.00 1,067.00 15.83%
※2023年6月の併合を反映済み。

2018年に変動率が2倍から1.5倍に変更になっていることを考慮した上で、2012年の始値と2020年の終値を基に下落率を計算すると、毎年約64%、毎月約11%下落していることになります。
・価格下落率(年平均):約64%
・価格下落率(月平均):約11%

過去から読み解くロスカットレートの目安

米国VIブルは期間と共に減価しているため、金融危機発生時に上昇する際の最高値も徐々に下がっています。

そこで、ロスカットレートの目安を検討するために、全期間に対して始値からその日以降の最高値までの変動率を確認しました。

以下は変動率が高いものをサマリした表です。

基準日 始値 当日以降
最高値
変動率 当日以降
最高値の日付
主な要因
2015年8月10日 1,254,500.00 4,562,500.00 約3.64倍 2015年9月1日 チャイナショック
2018年1月11日 4,310.00 15,090.00 約3.50倍 2018年2月6日 VIXショック
2020年1月22日 1,045.00 13,500.00 約12.92倍 2020年3月18日 新型コロナウイルス
パンデミック

新型コロナウイルスによるパンデミック時の変動率が飛び抜けています。

上記を元に、ロスカットレートの目安は以下のように考えます。
・ロスカットレートの目安:過去の米国VIブル(UVXY)の始値の最安値の 13倍

目安値での運用結果を試算

前提条件の整理

試算を進めるために「 【深掘り】年間利回り10%超え!米国VIのショート戦略について 」と同様に為替レートは以下の前提で進めたいと思います。
・ドル/円レート:109.03
※上記記事では為替レートを都度再計算していますが、最新の値を本記事へ反映できておらず申し訳ありません。

目安値での利回り試算(単純保有時)

仮に米国VIブルが40.00の時にショートポジションを保有したと考えると、月次のシミュレーションは以下のような計算になります。

期間 始値 終値 下落幅 利益 ロスカット
レート
拘束証拠金 月間利回り
1か月目 40.00 35.60 4.40 480円 520.00 52,334円 0.92%
2か月目 35.60 31.20 3.92 427円 520.00 52,334円 0.82%
3か月目 31.20 27.28 3.43 374円 520.00 52,334円 0.72%
4か月目 27.28 23.85 3.00 327円 520.00 52,334円 0.63%
5か月目 23.85 20.85 2.62 286円 520.00 52,334円 0.55%
6か月目 20.85 18.23 2.29 250円 520.00 52,334円 0.48%
7か月目 18.23 15.93 2.00 219円 520.00 52,334円 0.42%
8か月目 15.93 13.93 1.75 191円 520.00 52,334円 0.37%
9か月目 13.93 12.18 1.53 167円 520.00 52,334円 0.32%
10か月目 12.18 10.64 1.34 146円 520.00 52,334円 0.28%
11か月目 10.64 9.30 1.17 128円 520.00 52,334円 0.24%
12か月目 9.30 8.13 1.02 112円 520.00 52,334円 0.21%

月間利回りで見ると1カ月目は 0.92% となっていますが、1年後には0.21%にまで下がってしまっています。

1年間全体でみると、利益の合計は3,106円となり、拘束証拠金が52,334円なので年間利回りは 5.94% となります。

このまま運用を続けた場合、利回りはどんどん下がっていくため、あまり魅力はありません。
※年間利回り5.94%という数字自体は十分高い利回りなのですが。。

利回り悪化の原因は、ロスカットレートの見直しを行わない前提でのシミュレーションだったためになります。米国VIブルの投資において、利回りを維持するためには都度ロスカットレートを見直す必要があります。

目安値での利回り試算(ロスカットレート都度見直し版)

利回りを維持するために2カ月目以降に都度ロスカットレートを見直した場合の試算をしてみたいと思います。

期間 始値 終値 下落幅 利益 ロスカット
レート
拘束証拠金 月間利回り
1か月目 40.00 35.60 4.40 480円 520.00 52,334円 0.92%
2か月目 35.60 31.20 3.92 427円 462.80 46,578円 0.92%
3か月目 31.20 27.28 3.43 374円 405.60 40,821円 0.92%
4か月目 27.28 23.85 3.00 327円 354.69 35,697円 0.92%
5か月目 23.85 20.85 2.62 286円 310.08 31,207円 0.92%
6か月目 20.85 18.23 2.29 250円 271.06 27,280円 0.92%
7か月目 18.23 15.93 2.00 219円 236.95 23,848円 0.92%
8か月目 15.93 13.93 1.75 191円 207.13 20,847円 0.92%
9か月目 13.93 12.18 1.53 167円 181.07 18,223円 0.92%
10か月目 12.18 10.64 1.34 146円 158.29 18,223円 0.92%
11か月目 10.64 9.30 1.17 128円 138.37 13,926円 0.92%
12か月目 9.30 8.13 1.02 112円 120.96 12,173円 0.92%

変わった項目は「ロスカットレート」「拘束証拠金」「利回り」だけですが、都度ロスカットレートの見直しを行った結果拘束証拠金が下がり、 月間利回りすべての期間で0.92% を維持することができました。

1年間全体でみると、利益の合計は3,106円となり、拘束証拠金は便宜的に全期間平均の28,239円として考えると、 年間利回り11.00% になります。

米国VIの13.44%と比較すると若干劣りますが、代替手段としては十分優秀な利回りが確保できているかと思います。

なお、最新のロスカットレートの目安については以下の記事でお伝えしていますので、都度こちらをご確認ください。

一時的な投資に限定した考えでの利回り

これまでのシミュレーションではコロナショックを考慮したロスカットレートの目安値を使用したものになりますが、一時的な投資に限定するのであればチャイナショックやVIXショックの値をロスカットレートに使用することもアリかと思います。

コロナショックに次ぐ変動率としては、2015年のチャイナショックによる約3.64倍になりますので、一時的なロスカットレートの目安としては 4倍 とします。

ロスカットレートを4倍に設定して同様のシミュレーションを行うと、 月間利回り 3.67% 年間利回り 44.00% になり、米国VIでの夢のある考察を超える利回りとなります。

米国VIでの夢のある考察については以下の記事を参照してください。

まとめ

分析結果では、米国VIブルのショート戦略における ロスカットレートの目安 は米国VIブル(UVXY)の始値の最安値の 13倍 になります。

始値の最安値が更新される度にロスカットレートを見直すことで、 月間利回り約0.92%年間利回り約11.00% を維持することができます。

また、一時的な投資と割り切った上でリスクをとったロスカットレートの目安は米国VIブル(UVXY)の始値の最安値の 4倍 になります。

その場合の月間利回り約3.67%年間利回り約44.00% になり、非常に魅力的な投資となります。

いずれの場合であっても、米国VIブルはレバレッジ型であるため、適切なロスカットレートを正確に算出することは難しく、値動きによっては想定以上に上昇するリスクがあります。

そのため私としては、通常は米国VIへの投資を行うこととした上で、米国VIが新規売規制によって取引できない場合の代替手段として米国VIブルへの投資を行う運用をおすすめします。

米国VIのショート戦略については以下の記事を参照してください。

関連記事

米国VIブル(UVXY)の概要については、以下の記事で紹介しています。

米国VIブルのロスカットレート目安については、以下の記事で公開しています。

2021年5月25日に行われた米国VIブルの併合による影響については、以下の記事で説明しています。

LINE CFDの米国VIについては、以下の記事で紹介しています。

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